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アザポジ

エディトリアルデザインしたりオタクしたりしてる人の独り言。アザポジ→編集の際撮影された写真で使用しない画像のこと。

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わたしではない誰か

せいんとおにいさん買いに行けないなかなか…。

昨日ちょっと凪だったので宮部みゆきの「誰か」を読む。(4時間読了)
淡々としてたなぁ。批評が酷なのも納得。
もうちょっとユーモアがあると「ステップ・ファザー・ステップ」みたく、小さな事件にも親しみというかイベントとして満足できそうなのにちょっと惜しいなぁ。
でも最後の方にあった「人は自分がわかっていても誰かに何かを言われたい、認めてもらいたいときがある」というような一文がぐっときました。

きっと表題の誰かとは他者としての誰か、任意の誰かであり、特定の誰かを指す意味ではない。
そこになにか核心がある気がする。

あと「知らなければ知らないままでいいこともある」というかんじの?たしか「ぼんくら」でも同じ一節があった。

やっぱり言葉は良いですね。
語彙力が足りない私にとって、言葉は経験した感覚の補強材。
経験感覚だけでもマンガとして表現できるけど、良いと思った小説の言葉はそれをもっとクリアに見せてくれる。そうすることでもっともっと具体的に景色が浮かび上がるんですよ。

最近一番影響うけたのはやっぱり「望みは何と訊かれたら」でした。あの静謐さは本当に言葉にしてもらったおかげですごく表現のしがいのあるシーンを作れるきっかけになった。
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溺レる

溺レる 川上弘美

いきなりですが私は川上弘美の小説がとてもすきです。

この溺レるはかれこれ私が読んだ四冊目?の川上弘美作品になりますかね。
一番好きなのは「蛇を踏む」に入っている「消える」という短編小説なんですが、この「溺レる」もなかなかよろしかったです。

夢の中にいるような心地のする文章がさらさらと流れるようでその流れる様が美しい。
日本語の文章が日本語としてとてもそれらしい微妙なニュアンスと温度湿度まで伝わるように作り込まれている。

川上弘美の作品中で使われた言葉で印象的に残るものといえば食べ物(しかも普段なかなかお目にかかれないような乙な料理)の言葉と擬音語でしょうかね

とうとう ろうろう あわあわ しゅっと ひょうっと ぐねぐねと さやさや ぶよぶよ ふらふら ゆらゆら ごうごう

などなど…そしてもうひとつが性的表現の言葉のセレクトの仕方

接吻 交接 抱擁 蹂躙

なかなか古めかしくしかししばらく見ないうちに新しくなった日本語という気がしなくもないです

ああそして凄く個人的になのですが「叔父」という言葉が出てくるたびに葛西とか変換して一人でひいひいになってます。川上弘美の小説ではほとんど名前が本名で出ない(カタカナだったり、私という一人称だけだったりする)のでそれで想像力をかきたてられてしまいます…ばか。

ハリガネムシ

ハリガネムシ 吉村 萬壱
読書時間 1時間

新幹線で読んでた本。装丁に惹かれて祖父にもらった。(祖父の家は本の宝山のようになっていて児童文学から古典文学から現代文学まで幅広い本を取り揃えている)
祖父にとってはあまり印象的な本ではなかったようだが、読んでみて納得した。確かに祖父向けではない。

簡単に説明をすれば教師が水商売の女に関わっていく過程で自分の中の破壊衝動に気がつき、やがてその欲望の故にとんでもない底まで堕ちていく、という感じ。

この「破壊衝動」は岡崎京子の作品の中にもよく描かれる世界であるといえるが、この人のそれはもっと狂い方が酷な気がした。とにかく読後感があまりに暗いというか、凶器的な黄色というか(表紙の印象もあるのだろうが)。叫んだまま終わらせてもらえないようなそんな感覚に襲われる。
ちなみに岡崎京子の場合の堕ち方はもっと無感情で無慈悲でしかし恐ろしく爽快である。
その「爽快感」がないドロっとしたものというのがこの人の作品の色なのかもしれない。

レビューではさんざん酷評されていたが私は酷評するつもりはない。
元々他人が嫌がって見ないものを見てみようとするタイプの人間なので興味深かったというのが一番感想として近い。(しかし人間の体の傷を縫おうとは思わない)

本を読むときの動機として「感動したい」「何かを得たい」と思うのならばこの作品は読まない方がいいだろう。

楽しみ方としては「なんで」とか「どうしてこんな」とか思うより、小さな子が蟻を踏んだり足を取ったりしてそれが一体どうなるのか見届けたいと思うようなそういう奥底に眠る何かの衝動を抱えていることを自覚して読んだほうが、この作品は面白いのではないかと思う。

カウンタ

Penguin

いやしゾーン

word

Prof

HN:
コマツ・フツラ
HP:
性別:
女性
職業:
エディトリアルデザインする人
趣味:
漫画と旅と映画
自己紹介:
某美大卒。分裂気質。仕事がないと生きて行けないサラリーマン気質。