2007.05.07(Mon) 【読んだ本】
ハリガネムシ
ハリガネムシ 吉村 萬壱
読書時間 1時間
新幹線で読んでた本。装丁に惹かれて祖父にもらった。(祖父の家は本の宝山のようになっていて児童文学から古典文学から現代文学まで幅広い本を取り揃えている)
祖父にとってはあまり印象的な本ではなかったようだが、読んでみて納得した。確かに祖父向けではない。
簡単に説明をすれば教師が水商売の女に関わっていく過程で自分の中の破壊衝動に気がつき、やがてその欲望の故にとんでもない底まで堕ちていく、という感じ。
この「破壊衝動」は岡崎京子の作品の中にもよく描かれる世界であるといえるが、この人のそれはもっと狂い方が酷な気がした。とにかく読後感があまりに暗いというか、凶器的な黄色というか(表紙の印象もあるのだろうが)。叫んだまま終わらせてもらえないようなそんな感覚に襲われる。
ちなみに岡崎京子の場合の堕ち方はもっと無感情で無慈悲でしかし恐ろしく爽快である。
その「爽快感」がないドロっとしたものというのがこの人の作品の色なのかもしれない。
レビューではさんざん酷評されていたが私は酷評するつもりはない。
元々他人が嫌がって見ないものを見てみようとするタイプの人間なので興味深かったというのが一番感想として近い。(しかし人間の体の傷を縫おうとは思わない)
本を読むときの動機として「感動したい」「何かを得たい」と思うのならばこの作品は読まない方がいいだろう。
楽しみ方としては「なんで」とか「どうしてこんな」とか思うより、小さな子が蟻を踏んだり足を取ったりしてそれが一体どうなるのか見届けたいと思うようなそういう奥底に眠る何かの衝動を抱えていることを自覚して読んだほうが、この作品は面白いのではないかと思う。
読書時間 1時間
新幹線で読んでた本。装丁に惹かれて祖父にもらった。(祖父の家は本の宝山のようになっていて児童文学から古典文学から現代文学まで幅広い本を取り揃えている)
祖父にとってはあまり印象的な本ではなかったようだが、読んでみて納得した。確かに祖父向けではない。
簡単に説明をすれば教師が水商売の女に関わっていく過程で自分の中の破壊衝動に気がつき、やがてその欲望の故にとんでもない底まで堕ちていく、という感じ。
この「破壊衝動」は岡崎京子の作品の中にもよく描かれる世界であるといえるが、この人のそれはもっと狂い方が酷な気がした。とにかく読後感があまりに暗いというか、凶器的な黄色というか(表紙の印象もあるのだろうが)。叫んだまま終わらせてもらえないようなそんな感覚に襲われる。
ちなみに岡崎京子の場合の堕ち方はもっと無感情で無慈悲でしかし恐ろしく爽快である。
その「爽快感」がないドロっとしたものというのがこの人の作品の色なのかもしれない。
レビューではさんざん酷評されていたが私は酷評するつもりはない。
元々他人が嫌がって見ないものを見てみようとするタイプの人間なので興味深かったというのが一番感想として近い。(しかし人間の体の傷を縫おうとは思わない)
本を読むときの動機として「感動したい」「何かを得たい」と思うのならばこの作品は読まない方がいいだろう。
楽しみ方としては「なんで」とか「どうしてこんな」とか思うより、小さな子が蟻を踏んだり足を取ったりしてそれが一体どうなるのか見届けたいと思うようなそういう奥底に眠る何かの衝動を抱えていることを自覚して読んだほうが、この作品は面白いのではないかと思う。
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