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アザポジ

エディトリアルデザインしたりオタクしたりしてる人の独り言。アザポジ→編集の際撮影された写真で使用しない画像のこと。

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石垣君の日記3

じいちゃんに話を聞こうと部屋に向かったらじいちゃんは丁度でかけるところだった。
思わずじいちゃんが気がつく前に階段の影に隠れた。
直感的にじいちゃんが家族に内緒で出かけようとしてるのがわかったから。

じいちゃんは勘がいい人で俺はテストの点数も成績も学校のことでも嘘がつけないが
じいちゃんの孫である俺はその血を一応受け継いでいるのかもしんない。

後を付けようとしたけどバレるのがオチなので仕方なく俺はじいちゃんがでてくのをやりすごそうと決めた。そうして部屋に引き返そうとした途端、着信音が鳴ってめちゃくちゃビビった。
でもそれは俺の携帯じゃなくてじいちゃんのものらしかった
(携帯なんて持ってたっけ?)

じいちゃんは低い声で誰かと話をしていた。
かろうじて「あの時」だとか「今更」とか聞こえた。
なんだか嫌な感じだった。


じいちゃんはその日遅くに帰って来た。
近所の茶飲み友達と将棋さしてたって言ってた。
母さんは何も言わなかった。
俺も何も言わなかった。
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石垣君の日記2

転校生がやってきた。脳噛ネウロっていう変な名前の男だ。
早坂といい、脳噛といい、どうしてこう転校生は男ばっかりなんだ!?ロマンがない!
苗字もだが雰囲気も、なんだか「変な」男だ。
どう変かって言われてもうまく言えないけど…なんつーか、そう「胡散臭い」。
丁寧に敬語を話していながらインギンブレイな感じがする。
ちなみに俺はまだ挨拶すらしていない。向こうも俺のことに興味がまるでなさそうだし、関わらなくていいものには関わらないほうが楽だ。

もう一人の転校生、隣のクラスの早坂も半年程前に引っ越して来た。
こいつともほとんど喋っていない。っつーか最初は口がきけないのかと思ったほど無口だ。
夏でもセーター着てて、9月から既にマフラーぐるぐる巻きにしたまま授業受けてる。
最初は何故かずっとヘッドフォンをしてたけど、今は外してる。なくしたのか、早坂の態度が気に食わなくてちょっかいかけてた奴らが壊したのか判然としない。そういや最近はそのいじめっ子側の方が早坂を怖がってるみたいだ。
なんでそこそこ詳しいかっていうとうちのクラスによく来るから。意外なことに俺の苦手な吾代っていう奴と仲が良いみたいだ。吾代はすぐ切れるしヤンキーだしうるせーし、親?がヤクザみたいな人らしい(よく社長がどうのって言ってる)し、早坂と全然違うタイプみたいなのに。人間って不思議。もしかしたら吾代が怖くて、いじめっ子は早坂に手が出せないのかもしれないと思ったけど、時々吾代が早坂にビビってる態度をとってたから、もしかしたら弱みでも握られてるのかもしれない。ちょっと興味はある。


ところで俺の学校なんだけど、ここ一年の間にうちの学年だけで5人転校して2人転入してる。私立の高校なんてそんなもんなのかなと思ったけど、この間中学の友達にその話したら「それちょっと異常だな」って言われた。

ただの偶然だとは思うけど、どうせなら一気に3人くらいカワイー女の子でも転校して来て欲しいと思った。

毎日高校に通う坂道はキツいしバイク通学は禁止だから、俺たち学生はバスを使うしかない。しかも皆同じ時間に帰るもんだからバスが混んでしょうがない。
転校生の数よりこの効率の悪い交通の方が俺にとっては異常だ。

前に学校の怪談みたいなのを聞かされてヒグチが調べたんだけど昔はこの辺に山なんて無くて、一帯が沼地とか湿地帯だったらしい。もし土地が隆起?しないままだったら俺らはこんな理不尽なラッシュに揉まれることもなかったのになあと、雨でより混雑状態の酷いバスで帰った俺はじいちゃんに愚痴を言った。じいちゃんは地元出身だからだ。でもじいちゃんは、あんな沼地は無くなって正解だったっていう。いつもは陽気なじいちゃんが珍しく沈んだ声で、俺を諌めるように言うもんだからなんか少し気になった。じいちゃんはもしかしたらあそこの沼で行方不明になった生徒のことを知っていたのかもしれない。聞ける雰囲気じゃなかったけど、いつか聞いてみたいな。


週末はヒグチが新しいゲーム持って来てくれるらしい。楽しみだ。

石垣君の日記

ヒグチが面白いもん見せてやるよというので付いて行った。
ヒグチは高校のクラスメートで、ちっこくて(俺もちっこいって言われるけど)メガネかけたり外したりしてて、猫みたいな目をしてて女子には一部にかわいいといわれている奴だ。でももっぱら男共にはウケが悪い。
いちいち偉そうなのとか、イライラすると頭ガリガリし出したりするのとか、何考えてるのか時々わからないのがしゃくに触るんだとか。他の友達が言ってたけど、俺にとってはふーん、っていう程度のことだった。そんなのどうでもいいっていうか、別にその辺こだわったりするほど神経質ではないし。
で、だからって仲良くする義理もないっちゃないんだけどヒグチって面白いことたくさん知ってるわけ。特にオタクっぽい俺にはたまらないようなマニアックなプラモの限定販売情報とか、ちょっと危ないソフトの購入ルートとか、そんな感じのどこから拾ってくんだ?っていう情報をくれる。
そういうのきっかけで話してるうちに俺もクラスからちょっと浮いちゃって、結局二人でつるむことが多くなった。

「面白いもんってなんだよ」
「先に言ったらつまんないだろ」

前にちょっと変な体験も一緒にいるときにしたんだけどそれは追々説明するとして。
その情報通のヒグチがもってくる面白いもんっていうんだから俺は期待してワクワクしながらついてったわけだ。

着いた場所は学校の裏庭みたいなとこだった。
校舎の北側にある場所で日中も陰ってて夏は涼しいけど冬はかなり寒い。周りは木々しかないような丘の上に建つ校舎だけど、その場所に近づくにつれ、鳥の声がどんどん聞こえなくなる。今はあたりが静まり返っていて時々風で葉がこすれるざわざわって音だけがした。そこはよくヤンキーがタバコ吸ってたりするエリアだったから俺は内心でビビってたけど、つとめて平然とした顔をしながら突っ立ってた。
ヒグチは俺に見向きもせず、スタスタと塀の側まで歩いて行く。
そして「あった」といって振り返って俺に手招きをした。

俺はしゃがみこんでそれを見て、それからゆっくりヒグチを見た。
それはただの壁の落書きだった。細い油性で描かれたとても小さな字で、箇条書きに
前半に、二桁の数字、後半に短い文章がくっついている。
数字は50から始まって

かくれる
ひとりみつける
ひとりにがす
にげる

というような言葉が淡々と書き連ねられていた。

「なにこれ」
と、俺
「知らない。でも面白そうだからお前に教えてみた」
と、ヒグチ。

なんか知らない?こういう暗号。そうヒグチが続けるが俺にはなんのことだかさっぱりわからなかった。わかんねーよ、俺頭良くないもん。お前の方が、頭いいだろ。そうちょっとムキになりながら反論するとそうなんだよなぁと平然と言ってのけた。
まあこいつが失礼なのはいつものことだから別にどうってことはなかったんだけど。
それにヒグチには俺以外に友達と呼べるような気軽な人間もいなかったわけだし、俺はそのころ丁度戦争物のプラモに凝ってて、その余波でナチスの暗号がどーのみたいな付け焼き刃みたいな知識を披露していたから(とはいってもヒグチは大抵それ以上のことを知ってた)当たれば八卦みたいな気持ちで教えたんだと思う。ただ、それだけ。

それだけだと思いたいんだ、俺は。

だからあのとき壁の向こう側に感じたなんともいえない気配とか、そんな理屈にもならない悪寒なんて気のせいだって思いたかったんだ。

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エディトリアルデザインする人
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某美大卒。分裂気質。仕事がないと生きて行けないサラリーマン気質。