2007.07.26(Thu) 【読んだ漫画】
残暑 鬼頭莫宏
残暑 鬼頭莫宏
「ぼくらの」がアニメ化されて以来かなりこの人の漫画のことを目にする機会が増えました今日この頃。
なんだかIKKIに連載されているのでかなりコアなファンしか存在しなかったような気がしたので最近たくさんもてはやされて嬉しいような寂しいような…なんですかね、このちょっと複雑な気持ち。
(ちなみに「ぼくらの」が好きだ、とノットオタの子に言ってみたらお前暗い!と言われました…むう)
その複雑な気持ち半分こちらの読み切りを購入しました。
おお、私が4歳の時には既にこの人デビューしてたんですね。
最初の頃の絵柄はなぜか昔のたるるーと君とか初期の藤崎竜を思い起こさせました。
随分絵柄の冒険をした人なんだな、というのが絵の印象でした。
話自体はどれもとても素晴らしかったです。
この人は「なるたる」やら「ぼくらの」の残酷な設定で「奇才」扱いされてたのですが(とはいっても私はどちらの設定にも残酷性を感じませんけれども。「死ぬ」という出来事はだって「生まれる」と同じ数起こる事象であり、まったく自然な出来事だと思うからです。それより生き返ったり死なない漫画の方がよっぽど怖くないでしょうかねえ)この短編集にはどれもそのベーシックな、死だとか終わりだとか残されるものとか、要するに時間の流れとともに失われていくものたちの物語とでもいいましょうか。そのあたりに対する展望が、切々と比較的優しく描かれています。
凄く根深いテーマとして「生と死」があって、それに「喪失」とか「継承」という「生と死」の象徴的出来事が起こり、そしてその先にあるものに対しては静かに読者へゆだねる。しかもそれがナイーブであるテーマが故にとても丁寧に扱われていることにとても好感が持てます。
何よりこの人の良いところはその暗く、ネガティブになりがちな「喪失」を「美しさ」で演出できている所なんじゃないのかなと。
例えば「残暑」では死んだ妹が渡した手紙を主人公が空にかざすシーンで終わっているし、(妹ともう二度と会えなくなっても、これから先に主人公には未来への展望があることがすごく伝わってくる)
「華精荘に花を持って」では時を経て再会した元小学校時代の恋人がもう手の届かないところへ行ってしまったことへの暗示として花を手向けるシーンをからませる。
静かな中に暗示めいたもので喪失の重さを印象づけるあたりはもうこの人じゃないとできないんじゃないかなあと思わせてしまうものがあります。
なんとなくそういった重いテーマが話題になりがちな作家さんでありますが、「ぼくらの」にしろこの短編集にしろ、作家さんのずばぬけてるところはその重いテーマに対して湛然としていて丹念であることなんじゃないかなあなんて思う今日この頃。
「ぼくらの」がアニメ化されて以来かなりこの人の漫画のことを目にする機会が増えました今日この頃。
なんだかIKKIに連載されているのでかなりコアなファンしか存在しなかったような気がしたので最近たくさんもてはやされて嬉しいような寂しいような…なんですかね、このちょっと複雑な気持ち。
(ちなみに「ぼくらの」が好きだ、とノットオタの子に言ってみたらお前暗い!と言われました…むう)
その複雑な気持ち半分こちらの読み切りを購入しました。
おお、私が4歳の時には既にこの人デビューしてたんですね。
最初の頃の絵柄はなぜか昔のたるるーと君とか初期の藤崎竜を思い起こさせました。
随分絵柄の冒険をした人なんだな、というのが絵の印象でした。
話自体はどれもとても素晴らしかったです。
この人は「なるたる」やら「ぼくらの」の残酷な設定で「奇才」扱いされてたのですが(とはいっても私はどちらの設定にも残酷性を感じませんけれども。「死ぬ」という出来事はだって「生まれる」と同じ数起こる事象であり、まったく自然な出来事だと思うからです。それより生き返ったり死なない漫画の方がよっぽど怖くないでしょうかねえ)この短編集にはどれもそのベーシックな、死だとか終わりだとか残されるものとか、要するに時間の流れとともに失われていくものたちの物語とでもいいましょうか。そのあたりに対する展望が、切々と比較的優しく描かれています。
凄く根深いテーマとして「生と死」があって、それに「喪失」とか「継承」という「生と死」の象徴的出来事が起こり、そしてその先にあるものに対しては静かに読者へゆだねる。しかもそれがナイーブであるテーマが故にとても丁寧に扱われていることにとても好感が持てます。
何よりこの人の良いところはその暗く、ネガティブになりがちな「喪失」を「美しさ」で演出できている所なんじゃないのかなと。
例えば「残暑」では死んだ妹が渡した手紙を主人公が空にかざすシーンで終わっているし、(妹ともう二度と会えなくなっても、これから先に主人公には未来への展望があることがすごく伝わってくる)
「華精荘に花を持って」では時を経て再会した元小学校時代の恋人がもう手の届かないところへ行ってしまったことへの暗示として花を手向けるシーンをからませる。
静かな中に暗示めいたもので喪失の重さを印象づけるあたりはもうこの人じゃないとできないんじゃないかなあと思わせてしまうものがあります。
なんとなくそういった重いテーマが話題になりがちな作家さんでありますが、「ぼくらの」にしろこの短編集にしろ、作家さんのずばぬけてるところはその重いテーマに対して湛然としていて丹念であることなんじゃないかなあなんて思う今日この頃。
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