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アザポジ

エディトリアルデザインしたりオタクしたりしてる人の独り言。アザポジ→編集の際撮影された写真で使用しない画像のこと。

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石垣君の日記5

委員長の等々力がバスケやってて顔面からこけて鼻血出した。
普段偉そうでむかつくのでざまーみろと思ってたが、しきりに「足をつかまれた」と言っていて他の女子が怖がってた。
裏庭(校舎の北の例の場所ね)の幽霊だ とか 祟りだとかヒソヒソ話してるもんだから余計空気悪くなって、笹塚先生がそういう根も葉もない噂はやめなさいとか言ってた。
本当は根も葉もあるような噂で、実際男子生徒が消えてるのになぁとか、それを先生も知ってるのに嘘つくなんて先生も大変なんだなぁとか、眠気と格闘しながら考えてた。
「幽霊が足つかんだなんて等々力もアホだな」とヒグチに振ってみたが、ヒグチは生返事をするだけでぼんやりしていた。
「あれってほんとにあそこの幽霊の仕業だと思う?」と聞くと、「違うと思うよ」と、窓の外を見ながら答えた。なんか有耶無耶でいつもきっぱりと言い切るヒグチらしくないなーと思う。


今日乗ったバスは珍しくがら空きだった。
ヒグチは調べものしたいからっていって先に帰っちゃうし、俺は俺でバイトも休みだし穗村と授業中に適当に読み回してた漫画とかを完読するまでは帰らねえ!みたいな目標があったので、帰るころには日も暮れかけてた。

バスの中に変な奴がいた。

俺が窓側後方に座ってガラス越しに外を見ていると、そのガラスの反射でそいつが見えた。
恰好はグレーのスーツで、それだけなら普通のリーマンって感じなのに、そいつは大きくひとつだけ目が描かれている紙袋を頭にすっぽりとかぶっている。
20世紀少年っていう漫画あるじゃん?あの覆面の目だけみたいなのが、紙袋に描いてあるのよ。しかも俺の席と席の間の廊下?はさんだ向かいに微動だにもせずただ少し俯いて座ってる。
黄昏の夕方でも夜でもないこの時間。バスの車内はすでに薄暗いというのに、なぜか運転手は電気もつけない。そんななかで、俺とそいつのふたりだけが、バスに揺られている。

そこまで自覚して突然背中にぞくりと悪寒がした。俺は必死で違うことを考えようとした。けどどうしても聞こえてしまう。そいつの独り言が聞こえるんだ。さっきまで聞いていたMP3プレーヤーはいつの間にか無音になっていて電源すら入らない。バスの中で、エンジンや道路のガタガタした雑音が常に聞こえているというのに、それよりもはっきりと、俺の耳に直接ぼそぼそとそのつぶやきが聞こえてくる。


「お役にはたてない」「わたしでは無理だった」「申し訳ない」



気がつくと俺は停留所にいた。
どうやって降りたのか覚えていない。
わけがわからなくて、けれどとりあえず周りはいつも通りの帰り道で、バスに乗ってる間に夢でも見てたんじゃないかと結論づけるしかない状態だった。
フラフラと軽い目眩をおこしながらも鞄を抱え直して家路を急ぐ。

視線を感じて振り返ると、最近うちの学校にやってきた、変な転校生が俺を見てニヤリと笑いかけていた。
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女性
職業:
エディトリアルデザインする人
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漫画と旅と映画
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某美大卒。分裂気質。仕事がないと生きて行けないサラリーマン気質。